会長挨拶
広島大学 原爆放射線医科学研究所 放射線災害医療開発研究分野 教授
このたび、第40回日本救急医学会中国四国地方会を2024年5月17日(金)・18日(土)の会期で、広島大学霞キャンパスに一昨年新設された放射線災害医療研修棟において開催させていただくことになりました。本学会のホームページを立ち上げようとしていた矢先の新年元日に、能登半島を震源とする最大震度7の大地震が発生しました。現在もDMATをはじめ様々な支援チームが現地で活動しており、中国四国地方の救急・災害医療を担当されている皆様の中にも極寒の過酷な環境で職務を遂行されている方も多いと思います。またチームが出動することにより、所属部門の負担が増大し多忙を極めていることでしょう。能登半島への支援は継続する中、皆様が激務の間をぬって新緑燃ゆる初夏に広島へ来ていただけること期待して準備を進めております。
「空想の翼で駆け現実の山野を往かん」
これは私の故郷の一つである北九州市小倉が生んだ社会派作家 松本清張が島根県の義肢装具・医療用装具メーカーである中村ブレイス株式会社に贈られたお言葉を、承諾を得て今回の学会のテーマとしてお借りしたものです。救急医療、災害医療における現在の搬送方法、特にドクターヘリ、ドクターカー、ドローンを用いた医療提供、さらには個人用医療ヘリコプターなど「未来の翼」と、病院前救護・医療、被災地医療支援における「現実」について、能登地震の多職種経験も踏まえたシンポジウムを予定しています。また現在私が担当しております放射線災害医療について、中国四国地方における原子力災害を想定し、各担当者から課題を抽出していただき、救急医療従事者全員でディスカッションできればと考えております。
皆様の多数のご発表、ご参加をお待ち申し上げます。