第34回日本健康教育学会学術大会
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ご挨拶

第34回日本健康教育学会学術大会
大会長 
福田 洋
(順天堂大学)

この度、第34回日本健康教育学会学術大会を2026年7月18日(土)〜19日(日)に、順天堂大学本郷・お茶の水キャンパス(東京都文京区)で開催する運びとなりました。大会長として、関心を寄せてくださった皆さまにご挨拶申し上げます。

今から30年前、糖尿病患者教育に携わっていた私は、順天堂大学で開かれた第4回日本健康教育学会に初めて参加しました。当時は健康教育から健康学習、さらにヘルスプロモーションへの転換期であり、地域・学校・職域・病院など多様なフィールドの専門職が集い、活発に議論する姿に強い感銘を受けました。

その後、健康教育は行動科学の進展や実践の蓄積により、情報提供にとどまらず、個人と社会の双方に働きかける動的なプロセスとして発展してきました。私自身も糖尿病教育から働き盛り世代への健康教育へと関心を広げ、自己目標設定型プログラム、職域での通信支援、特定健診・保健指導、健康経営など多様な実践に携わってきました。近年ではICTやナッジ理論を活用し、個人と組織のヘルスリテラシー向上に取り組んでいます。

また、ここ数年は学会の国際交流委員会としての活動にも携わってきました。近年のIUHPE (国際ヘルスプロモーション・健康教育国際連合)では、気候変動、パンデミック、戦争などが複雑に絡み合う“ポリクライシス”の時代において、健康格差を縮小し、「プラネタリー・ヘルス(Planetary Health)」の実現を目指すという、高い志を掲げています。日本においても、少子高齢化、長引く景気低迷、円安などによる国力低下が危惧される中で、労働生産性の維持・向上のためには、人生を通じたヘルスリテラシーの涵養・向上が一層重要になっています。

第34回を迎える本学会では、そうした国内外の課題をふまえ、学童期(学校)、成人期(職域)、老年期(地域)をつなぐ一貫した健康教育・ヘルスプロモーションのあり方について、参加者の皆さまと共に議論・考察していきたいと考えています。また、教育現場、職域、地域の多様なフィールドで実践を重ねる皆さまのご参加を歓迎し、若手人材の育成にも力を入れてまいります。実践報告を対象とした「学会長賞」も新たに設ける予定です。さらに、特別講演にはでは「Health Literacy in the Digital Age(デジタル時代のヘルスリテラシー)」をテーマに、Don Nutbeam先生をお招きし、デジタルヘルスやAIなど最新の話題に触れていただきます。

本学会が、研究成果の社会実装を推進し、誰もが自らの健康を主体的に選択・実現できる社会をめざす「邂逅の場」となることを願っています。