第33回中国四国眼科メディカルスタッフ講習会
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プログラム

開会の辞 9:00
香川県眼科医会会長 小路 竜一 先生
講演1 9:05~9:55(講演45分、質疑応答5分)
座長 香川県眼科医会理事 杉田 江妙子 先生

「スポットビジョンスクリーナーの有用性」

 幼児は視力が0.2程度あれば不自由なく日常生活を送り、一番身近なご両親でさえ見え方の異常に気づくことが難しいそうです。弱視の問題点は、50人に1人と誰にでも起こり得て、発見されにくく、治療期間にタイムリミットがあること。そして何よりこの事実が十分認識されていないことにあります。とは言え、3歳児の弱視発見が難しいことは眼科の知識があるスタッフでも同じことで、視力検査だけでは弱視見逃し率が70%を超えるという報告もあります。この中でスポットビジョンスクリーナー(以下SVS)の有用性はすでに周知された通り、令和4年度には自治体が機器を購入する際は国庫から1/2が補助され、さらなる普及が期待されます。
 坂出市は一足早く、令和3年4月よりSVSを導入し、これまで5~7%程度であった要精密検査率は、令和3年度:36.2%、4年度:31.6%と著明に上昇しました。この2年間での検査成功率は100%、視力検査不可であったお子様に大変有用な検査となりました。ただ、要精密検査となったお子様が、健診後に医療機関でどのような経過を辿ったのか、通常追跡は難しく報告が少ない状況です。視力検査で合格したがSVSで不合格、すなわち従来の健診では見逃された可能性がある症例はどの程度あるのか、逆にSVSで合格したが弱視であった症例はあるのか。今回は当院へ受診されたお子様に限りますが(令和3年度:65.1%、4年度:82.1%)、追跡結果を分かりやすくフィードバックできればと思います。

福田 美穂 先生

福田 美穂 先生
ふじみ眼科・内科クリニック

略歴
2011年3月
兵庫医科大学医学部医学科 卒業
2011年4月
兵庫医科大学病院 臨床研修医
2013年4月
兵庫医科大学病院 眼科学教室入局
2020年4月
沖津眼科クリニック
2023年3月
ふじみ眼科・内科クリニック(旧・沖津眼科クリニック)
講演2 9:55~10:45(講演45分、質疑応答5分)
座長 香川県眼科医会会長 小路 竜一 先生

「みんなのロービジョンケア」

 医療の3要素は「予防」「治療」「リハビリテーション」ですが、眼科医療においてはロービジョンケアがリハビリテーションの入り口となります。日本ロービジョン学会が2000年に設立されて四半世紀がたち、日本眼科医会もロービジョンケア紹介リーフレットやクイックロービジョンケアの普及を行なっていますが、未だに視覚に障害が残った方が今後どうして良いかわからずに引きこもってしまうことがあります。
 ロービジョンケアは専門職だけが行うものではありません。眼科スタッフであれば受付の方もお困りごとのニーズをしっかりとお聞きすることができます。眼科のチーム医療の一員としてみんなが取り組むことができるのがロービジョンケアです。そのための必要なポイントはとてもシンプルです。つまり、見えにくい方が日常生活や職場・就学環境において何に困っているかを想像し、それを自分事に置き換えて、なんとかしてあげたいと願うマインドです。このロービジョンケアマインドは眼科メディカルスタッフであれば当然持っている気持ちと私は信じています。
 私が広島大学病院でロービジョン外来を開設して以来14年が経ちました。私の今までの取り組みを紹介・参考にして、みんなでできるロービジョンケアのあり方を一緒に考えてみたいと思います。

奈良井 章一 先生

奈良井 章人 先生
奈良井眼科

略歴
1990年3月
広島大学医学部卒業
  同年4月
広島大学医学部眼科学教室入局
1997年2月
奈良井眼科開業
2009年9月
広島大学病院眼科ロービジョン外来開設
2022年5月
日本ロービジョン学会理事
  同年7月
広島県眼科医会常任理事
休憩 10:45~11:05
次期開催県挨拶 11:05~11:10
広島県眼科医会会長 竹田 欣史 先生
講演3 11:10~12:00(講演45分、質疑応答5分)
座長 香川県眼科医会副会長 谷 英紀 先生

「神経眼科疾患~基本のお話~」

 神経眼科疾患は一般眼科疾患に比べ頻度が少なく、眼球以外の部分に問題があることが多いためか、難しい病気!と敬遠されているのではないでしょうか。しかし避けても通れませんよね。
 神経眼科の役割の1つは生命にかかわるような、あるいは失明につながるような重篤な他科疾患を眼科の立場から診断し、治療をおこなう科につなぐことです。眼科で直接治療できることは少ない疾患がほとんどですが、自科で治療できないからこそ診断が遅れないようにしたいものです。もう1つはそれに比べれば重篤とは言えないような、どちらかというとよくわからない目に関する困りごとを訴える患者さんに対する対応です。もちろん完全に解決できるとは限りませんが、一般眼科的検査では検出しづらい眼部の所見から自覚症状の原因や機序が説明できると、患者さんは予想以上に安心されるものです。どちらの場合も神経眼科の診療は問診に始まり、問診で終わる、といっても過言ではありません。患者さんの訴えに沿ってしっかり問診した内容は立派な神経眼科情報です。また眼科診療で忘れがちな肉眼的な視診所見も重要です。もちろん最終的にはMRIなど高度な診断装置が必要になることもあり、逆にOCTやHumphrey静的視野検査のような、眼科の現代精密機器が意外と診断の助けになることもあります。
 今回は以上のような神経眼科の2つの役割と診療ポイントについて、お話したいと思います。

曽我部 由香 先生

曽我部 由香 先生
三豊総合病院眼科

略歴
1987年
岡山大学医学部卒業
1987年
岡山大学医学部付属病院 研修医 ~因島総合病院、土庄中央病院、三井造船玉野病院 勤務後
1993年2月
三豊(みとよ)総合病院 眼科非常勤医
2013年4月
三豊総合病院 眼科部長
2020年4月
日本神経眼科学会評議員、学術委員
香川大学医学研究科眼科学教室臨床教授
閉会の辞 12:00
香川県眼科医会副会長 谷 英紀 先生