大会長挨拶

一般社団法人日本顎顔面補綴学会 第43回総会・学術大会
大会長 西脇恵子
日本歯科大学附属病院 言語聴覚士室
このたび、第43回日本顎顔面補綴学会総会・学術集会を、2026年7月24日(金)から25日(土)の2日間にわたり、日本歯科大学生命歯学部キャンパス内で開催する運びとなりました。本学会は、1976年に第1回の学術大会が開催された学会ですが、その間、顎顔面領域の補綴装置を専門とする歯科医師のほか、口腔外科医、耳鼻咽喉科医、形成外科医、歯科技工士、歯科衛生士、そして言語聴覚士といった多くの領域の専門家がかかわっています。今回は、学会の長い歴史の中で、歯科医師・医師ではないコメディカルスタッフである言語聴覚士が中心となって企画運営される初めての学会です。そこで、今回のテーマを、その意味をこめて「話す・食べるを支える顎顔面補綴~多職種協働で見える未来~」としました。
口腔顔面領域の疾患に起因する構音障害や摂食嚥下障害の症状に対するリハビリテーションの一つの手段として、顎顔面補綴装置は有効なものです。しかし、そこには、領域を超えた学際的な連携が必要になり、言語聴覚士のほとんどは医科の回復期リハビリテーション領域で働いていることから、歯科との協働がしにくい状況にあり、この領域の仕事の経験が重ねにくい現状があります。本学会は、これまでもさまざまな啓発を重ねてまいりましたが、まだまだ多くの人に知られていないのが現実です。
学会の中の特別企画として、言語聴覚士における本領域のレジェンドのひとりであられる熊倉勇美先生(千里リハビリテーション病院)に特別講演をしていただくほか、歯科領域のスタッフと言語聴覚士をつなげるために、現状を把握し、そのうえでどのような工夫が必要なのかを参加者と一緒に考えるシンポジウムやワークショップを考えております。さらに、「顎補綴治療のストラテジー」をテーマにした教育研修会の続編、第3回PAPハンズオンセミナーも企画しています。これらの企画において、参加者の皆さまとの討論や情報交換をすることによって、少しでも領域の拡大につなげていけたらと願っています。
会員の先生方はもとより、顎顔面補綴を専門になさっていらっしゃらない歯科領域の先生方、これまで口腔内装置を使ったリハビリテーションの経験がない、あるいは少ない言語聴覚士、リハビリテーション領域の医師や専門職の方々も含めて、多くの方にご参加いただくことを心からお待ちしております。