プログラム
「アレルギー性結膜炎とアトピー性皮膚炎」
鳥取大学医学部視覚病態学分野教授 宮﨑 大 先生
アレルギー性結膜炎は、最新の疫学調査において国民の約2人に1人が経験する極めて一般的な疾患である。その中でも、アトピー性角結膜炎(AKC)や春季カタル(VKC)は重症化しやすく、特にアトピー性皮膚炎(AD)の活動性と密接に関係していることが知られている。
近年、免疫抑制剤点眼薬の登場により、重症型アレルギー性結膜炎の治療戦略は大きく変化した。一方で、皮膚科領域においてはデュピルマブ(IL-4/13阻害薬)やJAK阻害薬などの分子標的薬の導入により、アトピー性皮膚炎の治療は飛躍的な進歩を遂げている。これにより眼症状の改善がみられる症例も報告されている一方で、デュピルマブに関連した結膜炎や感染症の合併症が新たに注目されている。
また、これらの疾患はドライアイやマイボーム腺機能不全を高率に併発し、涙液の安定性破綻によって視機能障害を引き起こすこともある。さらに近年では、「アトピー緑内障」という新たな概念も提唱されており、単なる眼圧コントロールにとどまらず、皮膚炎の炎症コントロールが眼圧抑制に寄与する可能性も示唆されている。
また、AD患者では若年での白内障や網膜剥離のリスクも高く、眼科単独での対応には限界がある。内科・皮膚科・小児科との連携が極めて重要であり、多職種による包括的な管理が求められる。
本講演では、こうした最新の治療薬や病態理解を踏まえ、眼科医として認識しておくべき他科との連携の要点や診療の実際について、具体的な症例を交えながら紹介したい。

宮﨑 大 先生
鳥取大学医学部視覚病態学分野教授
現在に至る
「OCTにおける脈絡膜所見のとらえ方」
徳島大学大学院医歯薬学研究部眼科学分野教授 三田村 佳典 先生
OCTはOCT2000に始まり、現在ではSpectral domain OCTが主流となり飛躍的に解像度が向上した。また、2009年に報告されたEnhanced depth imaging OCT (EDI-OCT)の撮影手法やSwept source OCT (SS-OCT)の開発により、より深層の脈絡膜や眼球深部の解析が可能となった。その結果、EDI-OCTやSS-OCTを用いて網膜疾患の脈絡膜を解析した報告がなされるようになり、中心性漿液性網脈絡膜症においては脈絡膜の肥厚と光線力学的療法後の脈絡膜厚の改善が報告されている。
また、EDI-OCT画像を用いて脈絡膜を管腔および間質領域の2領域にわける2階調化という画像解析方法が報告され、我々はこの2階調化の手法を用い脈絡膜の生理や網脈絡膜疾患における脈絡膜構造の変化を検討してきたのでその成果を交えてOCTにおける脈絡膜所見のとらえ方を紹介したい。

三田村 佳典 先生
徳島大学大学院医歯薬学研究部眼科学分野教授
(University of Southern California, Doheny Eye Institute)
(Cleveland Clinic, Cole Eye Institute)
現在に至る
次回のご案内
2026年度 中国四国眼科ブロック講習会
・開催日時:2026年8月23日(日)
・場所:広島県医師会館
・主催:広島県眼科医会
ご挨拶
2026年度中国四国眼科ブロック講習会は、広島県が担当となり、2026年8月23日(日)に広島県医師会館にて開催し、後日、オンデマンド配信いたします。
本講習会のテーマは「一歩先の診療」といたしました。先生方の専門知識をアップデートし、明日からの診療の実践に役立てていただける内容の講演を考えております。
広島には世界遺産の厳島神社と原爆ドームがございます。講習会前後には観光やグルメを楽しまれ、夏の広島をご堪能いただけましたら幸いです。多くの先生方のご参加をお待ち申しあげます。