2025年度中国四国眼科ブロック講習会
2025年度中国四国眼科ブロック講習会
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プログラム

開会挨拶
徳島県眼科医会会長 猪本 康代 先生
講演1(13:00~14:00)
「アレルギー性結膜炎とアトピー性皮膚炎」
鳥取大学医学部視覚病態学分野教授 宮﨑 大 先生
座長 徳島大学大学院医歯薬学研究部眼科学分野教授 三田村 佳典 先生
「アレルギー性結膜炎とアトピー性皮膚炎」

 アレルギー性結膜炎は、最新の疫学調査において国民の約2人に1人が経験する極めて一般的な疾患である。その中でも、アトピー性角結膜炎(AKC)や春季カタル(VKC)は重症化しやすく、特にアトピー性皮膚炎(AD)の活動性と密接に関係していることが知られている。

 近年、免疫抑制剤点眼薬の登場により、重症型アレルギー性結膜炎の治療戦略は大きく変化した。一方で、皮膚科領域においてはデュピルマブ(IL-4/13阻害薬)やJAK阻害薬などの分子標的薬の導入により、アトピー性皮膚炎の治療は飛躍的な進歩を遂げている。これにより眼症状の改善がみられる症例も報告されている一方で、デュピルマブに関連した結膜炎や感染症の合併症が新たに注目されている。

 また、これらの疾患はドライアイやマイボーム腺機能不全を高率に併発し、涙液の安定性破綻によって視機能障害を引き起こすこともある。さらに近年では、「アトピー緑内障」という新たな概念も提唱されており、単なる眼圧コントロールにとどまらず、皮膚炎の炎症コントロールが眼圧抑制に寄与する可能性も示唆されている。

 また、AD患者では若年での白内障や網膜剥離のリスクも高く、眼科単独での対応には限界がある。内科・皮膚科・小児科との連携が極めて重要であり、多職種による包括的な管理が求められる。

 本講演では、こうした最新の治療薬や病態理解を踏まえ、眼科医として認識しておくべき他科との連携の要点や診療の実際について、具体的な症例を交えながら紹介したい。

宮﨑 大 先生

宮﨑 大 先生
鳥取大学医学部視覚病態学分野教授

略歴
1989年3月
大阪大学医学部 卒業
1990年7月
松山赤十字病院
1992年7月
大阪厚生年金病院
1997年12月
ハーバードメディカルスクール スケペンス眼科研究所 研究員
2001年2月
市立池田病院
2002年1月
鳥取大学医学部附属病院 助手
2004年11月
鳥取大学医学部附属病院 講師
2018年4月
鳥取大学医学部附属病院眼科准教授
2022年4月
鳥取大学眼科教授

現在に至る

講演2(14:00~15:00)
「OCTにおける脈絡膜所見のとらえ方」
徳島大学大学院医歯薬学研究部眼科学分野教授 三田村 佳典 先生
座長 徳島県眼科医会副会長 田近 智之 先生
「OCTにおける脈絡膜所見のとらえ方」

 OCTはOCT2000に始まり、現在ではSpectral domain OCTが主流となり飛躍的に解像度が向上した。また、2009年に報告されたEnhanced depth imaging OCT (EDI-OCT)の撮影手法やSwept source OCT (SS-OCT)の開発により、より深層の脈絡膜や眼球深部の解析が可能となった。その結果、EDI-OCTやSS-OCTを用いて網膜疾患の脈絡膜を解析した報告がなされるようになり、中心性漿液性網脈絡膜症においては脈絡膜の肥厚と光線力学的療法後の脈絡膜厚の改善が報告されている。

 また、EDI-OCT画像を用いて脈絡膜を管腔および間質領域の2領域にわける2階調化という画像解析方法が報告され、我々はこの2階調化の手法を用い脈絡膜の生理や網脈絡膜疾患における脈絡膜構造の変化を検討してきたのでその成果を交えてOCTにおける脈絡膜所見のとらえ方を紹介したい。

三田村 佳典 先生

三田村 佳典 先生
徳島大学大学院医歯薬学研究部眼科学分野教授

略歴
1987年
北海道大学医学部医学科卒業
1987年
北海道大学医学部附属病院眼科医員(研修医)
1989年
市立釧路総合病院眼科 医員
1993年
富良野協会病院眼科 医長
1995年
国立札幌病院眼科 医師
1996年
東邦大学医学部付属佐倉病院眼科助手
2001年
札幌医科大学医学部眼科学講座講師
2005年
文部科学省・海外先進教育研究実践支援プログラム
(University of Southern California, Doheny Eye Institute)
(Cleveland Clinic, Cole Eye Institute)
2006年
千葉大学大学院医学研究院眼科学准教授
2010年
徳島大学大学院医歯薬学研究部眼科学分野教授

現在に至る

次期開催県挨拶
広島県眼科医会会長 竹田 欣史 先生

次回のご案内
2026年度 中国四国眼科ブロック講習会
・開催日時:2026年8月23日(日)
・場所:広島県医師会館
・主催:広島県眼科医会

ご挨拶
 2026年度中国四国眼科ブロック講習会は、広島県が担当となり、2026年8月23日(日)に広島県医師会館にて開催し、後日、オンデマンド配信いたします。
 本講習会のテーマは「一歩先の診療」といたしました。先生方の専門知識をアップデートし、明日からの診療の実践に役立てていただける内容の講演を考えております。
 広島には世界遺産の厳島神社と原爆ドームがございます。講習会前後には観光やグルメを楽しまれ、夏の広島をご堪能いただけましたら幸いです。多くの先生方のご参加をお待ち申しあげます。

閉会挨拶
徳島県眼科医会副会長 田近 智之 先生