プログラム
網膜光干渉断層計(OCT)が臨床現場で用いられるようになってから約20年が経過した。
当初はタイムドメイン方式の撮像であったために画像の鮮明さには限界があったが、スペクトラルドメイン方式の登場によってその画質は大幅に向上した。
さらに最近になってOCTを用いて血管造影検査と同等の検査所見を得られる技術が開発されて、OCTを用いて血管の走行を評価することもできるようになった。
このような検査機器の進歩によって、眼底疾患の理解が深まり、診断基準が見直されたり、新たな疾患概念が登場したりしている。
本講演では特に黄斑疾患を中心に診療がどのように変化してきたのかを振り返ってみたい。

山城 健児 先生
高知大学教育研究部医療学系臨床医学部門 教授
京都大学医学研究科 講師
ぶどう膜・網膜・硝子体疾患
現在に至る
前眼部炎症性疾患のうち角膜炎や結膜炎では、臨床所見から細菌感染症が疑われる症例では、キノロン系などの広域スペクトルを有する抗菌点眼薬を用いることで治癒することが多い。しかしながら、実際の起因病原体は、細菌が多いものの真菌やウイルスあるいはアカントアメーバなど多岐にわたり、診断および治療に苦慮することも少なくない。また、角膜に病変が存在していても角膜自身には感染がなく前部および後部眼瞼炎や涙道の炎症が原因である場合もある。とりわけ、病変が角膜に及んでいる場合には角膜の混濁や変形を最小限にとどめ視機能を維持するために、早期診断とともに適切な薬剤による治療を開始することが重要である。
理想的な早期診断は、眼脂や病巣掻爬により得られた検体を塗抹検鏡し、実際の病巣を観察することが治療法選択に重要である。また、同時に薬剤感受性を知るために培養検査を行うことも、起炎病原体の確認や治療方針の変更において重要な情報となる。
治療に関しては、主病変の部位および起炎病原体を的確に判断したうえで使用薬剤を投与方法(局所・全身)も含めて必要最小限で選択することが重要である。
本講演では、前眼部炎症性疾患の診断と治療戦略について、症例を提示しながら解説する。

近間 泰一郎 先生
広島大学大学院医系科学研究科 視覚病態学 准教授
広島大学病院 眼科 診療教授
角膜・オキュラーサーフェス
・日本眼科学会眼科専門医・指導医
・日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医
山口大学医学部眼科学教室入局
現在に至る
次回のご案内
2024年度 中国四国眼科ブロック講習会
・開催日時:2024年7月15日(月)祝日 海の日(開始時間、講師、演題は未定)
・場所:岡山県岡山市北区駅元町 岡山県医師会館内「三木記念ホール」
・主催:岡山県眼科医会
ご挨拶
3年もの間猛威を振るった新型コロナ感染症も5類に移行し、我々はなんとか以前の日常を取り戻しつつあります。ようやくコロナ禍からコロナ過へと一歩前進出来ると期待しています。
さて、来年度の本講習会のテーマは、“実践力を磨く“といたしました。日々の臨床の場では”確かな診断に基づいて確かな治療を行うこと“が当たり前ながら、その実践には、知識のみならず行動するための技術、医療環境、チーム作り等が不可欠です。特別講演を2題準備中ですが、新進気鋭の講師による実践力を磨くための内容にしていただく方針です。多くの医師とメディカルスタッフにご参加頂けるように願っています。
晴れの国岡山は交通の便も良く、会場は岡山駅から屋根続きで来ることができます。ちょうど海の日の連休ですので、前入りされてグルメや観光を楽しまれるのもよろしいかと存じます。